いつも大事にするライブのオープニングシーン。
今回は漠然と「スライドの明かりの中にメンバーのシルエット」ってことだけは浮かんでて。笑いというよりも、これから始まるヘビースモークモンキーズの世界観を提示したかった。たまたま見た『トラフィック』って映画に麻薬中毒者が集まる会みたいなシーンがあって、おっとこれを煙草でやろうと。そのぐらいだけ決めて、ほっといてるときに、『スモーク』のサントラの中にある『煙が目にしみる』をなんかに使えない?って長谷川と聞いた瞬間、オレがハードゲイのカッコで出てくる → 話は続いてるけど、音が大きくなり暗転 → そのままメンバー紹介のスライドへ……って流れが一瞬にして思いついた。
もう奇跡の瞬間。メンバーもオレのハードゲイのカッコってアイディアに爆笑、即、決定。ほぼ暗転に近い照明や、ライターの明かりで一瞬見える顔、薄く聞こえるノイズ等、どことなくアンダーグラウンドなニオイが気に入ってるシーン。

坂 田「冒頭の自己紹介の台詞は毎回、緊張した。一回どこかでカンだ。くやしー!」



“煙草屋の角”ってキーワードだけ思いついてて。この言葉から絶対面白いコントが生まれるって直感があった。いろんな方向性のコントを話合う中、“不条理銀座”というこれまたわけのわからんキーワードが生まれる。「煙草屋の角、不条理銀座、この言葉には必ず宝が埋まってる!」と、かなり粘って考えた。
みんなにはとにかく何も決めずに何度も何度も最長30分ぐらい動き続け、ボケ続けてもらった。そんときばかりは「あーなんて面白い人たちだぁ」と思って5人を見てたもんだ。最終的にネタをひとつひとつ決めてったのは本番一週間前ぐらい、みんなで深夜までかかってあーだこーだと。深夜のテンションが思いつかせたのが「ひとりパレード」。自分で言っときながらどーかなぁと思ってたけど、やたらメンバーが押すんで決まった。
今思うと、どうして思いついたかわからない不条理キャラの数々。ちなみに長谷川と明水が戦うヘンな拳法は「ペガサス拳」って名前がついてた。いかに6人でやってるとは思えないキャラの数とテンポ感が具体化できるか、と本番入ってからも追求度の高かったコント。慣れてきたツアー先ではお客さんのノリに合わせてテンポを微妙に変えていったりと、ライブ感の高いコントでもあった。
地方では毎回オレが地方ネタを言うヶ所があったんだけど、長野でオオスベリ。メンバーは舞台裏で爆笑、ステージにまで聞こえた。ちなみに一番のお気に入りは焼津で言った「Y!A!I!Z!U!」。


長谷川「マギーから“なんか煙草に関する曲持ってきて”って言われて何曲か持ってった中の一番のお気に入りが、かまやつひろし『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』。坂田がアドリブで作ってる時にポロっと言ったのを、マギーが拾ってくれて。本当に嬉しく思います。」
六 角「ジョビジョバいち、カラミにくいと評判のボクはやっぱり最後の最後までダメ出しされ続けました。」



煙草から火事、そっからの発想。言い出しっペは明水。
これまでのライブでは明水や石倉がソロネタでやってた「脱力系ギャグ」の発展型。一番最初にリハーサルで本当に何も考えずにやった石倉、六角、明水には爆笑。腹よじれるほど笑った。ただそれを毎回できるアベレージにするのに演出家はだいぶ苦労いたした。ゴーストバスターズの曲を使ったのは、「一番使っちゃいけない曲の代表」として、今までも何度も話題に挙がってたのが、「あ、ビンゴじゃん!」って。世代によっては“?”な人も多いだろうけど。
オレがファイヤーマンとしてラスト出てきて、しかも衣装が引き抜きに、ってのは最初は雑談から飛び出した冗談。「なんでそんなオイシーとこ持ってくの!」って冗談を越えるオチが見つかんなくて決定。ラストのダンスや、大道具のカート、照明・音響と各セクションの力があって完成する、ジョビジョバらしい「演劇的ダイナミズム」を持ったコントだね。

六 角「石倉、明水、ボクはコント作ってる最中はやりたい放題だった。当然もっとグダグダだった。」
石 倉「なるべく頭の中をからっぽにしてやってました。」



タイトルを「ヘビースモークモンキーズ」にするって決まった時からやろうと決めてたシュチュエーション。実は5、6年まえから暖めてたコント。一本続き物でギャグらしいギャグを排除したエピソードをやりたいって提案したときは、5人とも驚いてたけど、とりあえずバ―っとシーンの説明をして実際に台本なしでやってみて、みんなその面白さに気付いてくれた。
全ては長谷川のオバちゃん芝居と石倉の佇まいのおかげで成立した。台本も長谷川と相談して決めたし。リアリティ溢れる空気感にオレはずっとニヤニヤして演出してた。毎回ステージ袖で「こーゆーのもできるようになったなぁ。」と感慨深く見ておりました。

長谷川「結局、オレのやるオバちゃんは元ネタ、全て母親なんです。このオバちゃんはパターン1、親戚と話す時のノブコでございます。お気に入りの台詞は『チャンネルこれでいいのかしら?』です。」
六 角「マギーが笑いなしでいくって言ったときはある意味衝撃的でした。」
石 倉「自分の中では映画『息子』の三國連太郎イメージでやってました。」



見に来た関係者から「どこが煙草関係してんの?」とよく言われたコント。
流れとしては「学生服で煙草を吸ってるコントどうよ?」「不良と先生?」「見たことあるよなぁ」「じゃー不良漫画のパロディでさ……」なんて話を延々してたらできたコント。今まであんまり漫画っぽいコントがなかったんで何本か作って最終的にこれが生き残った。新しいラインのコントなんでみんな気に入ってる。
音響ハンダース軍曹が次々と曲を入れた(台本には音が入るとは書いてなかった)おかげで、より劇画タッチのバカバカしさが増した。今回のコントの中で最も迷わずに爆笑しながら一瞬で完成したコントかも。それぞれのキャラは少し迷ったけど。そーいや坂田のロシア人が決まるのにたしか二時間ぐらいかかった。明水はツアー中、オロチ霊三郎が憑依させる人で地方ネタを。ほぼ100発100中だった。細かい言葉のネタはみんな触発されてけっこう変えていったな。「なんで受けてねーのに変えねぇんだよ!」とか言って。六角が変えたネタでオオスベリして全員半笑いになってやった回もあったね。

明 水「自分自身、一番力を入れたキャラがオロチ霊三郎。名古屋で憑依させた“風来坊のコックさん”がイマイチ受けなかった。名古屋で有名なお店“風来坊”のことだったのだが、大半の人が“流れ板”みたいなコックさんを想像したのか?」
坂 田「ロシアのことを知るために参考書を買った。あんまり役にはたたなかった。」



石倉が「病院の待合室でイスに座ってたら、呼び出されてすぐに戻ると席がなくなっとたんや。これを灰皿でできんもんかのぉ」というようなことをドボドボと提案。
前々からオレも無言劇みたいなのをやってみたかったんでスグサマ立ってやってみる。新しいタイプのコントの幕開けに一同興奮したのを覚えてる。
実際、ライブでやるとお客さんとの呼吸が難しく、何度も演出を少しづつ変えて工夫したものの、最終的に倉敷でけっこう大きく変えた。まだこの手のコントはジョビジョバ的に未開発なのでいろいろと考えていきたいと思ってる。その第一弾的コントだね。

六 角「灰皿を操るガスマスク隊長ことカンノさんが、坂田の動きに舌打ちしまくってました。理由はわかりませんけど。自分的に舌打ち、だったのかも。」




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